「ネットショップ”でも”やろうと思います。」


「初心者なので、まずはモノを売ろうと思います。」



10年以上前からビジネス未経験な人ほど言いがちな件。




無理もありません。

サービスを売ったり、メディアを作って視聴者を集めたり、目に見えないモノを売るよりも、

目に見える”モノ”を売る方がやりやすそうですもんね。



もちろんその意味では正しい。




コミュニケーション能力とか?スキルとか?こういうのは不要です。



売れるモノを扱えば驚くほど簡単に売上が上がりますし、

年商1億とか超えるのも楽です。



なので、はじめてのビジネスでECをやるのは”あり”。




でもね、その一方で借金を抱えて倒産してしまうとか、ものすごい強いストレスの中で経営していたりっていう、

しんどい状態の経営者が一番多いのもECビジネスの特徴だったりします。



ということで今日はECサイトがしんどくなる理由をあらためて整理していきたいなと。



これからはじめようと思ってる人も、

もうやってる人も、関係ない人にとっても整理しておいて無駄ではないかと思います。





ECがしんどい理由。



細かいことを言い出したらキリがありません。



・EC移行率がほぼ飽和しているので本当の意味で差別化できてない商品は価格を下げざるを得ない。


・日本では物流費(宅配費用って意味)が高騰してるのに送料を許容しない顧客がほとんどで利益を圧迫する。


・為替やら物価高の影響で仕入れコスト増大で利益を圧迫する。


・海外との価格差がほぼないので、価格差でのアービトラージが取れない。


・広告ROASや顧客獲得コストの増大。


・出荷や梱包、CSなど人が必要な作業が多いけど人件費の高騰や外注費の高騰でコストが増える。


・人が増えるのでマネジメント上の課題が多い。



etc。





まーどんなビジネスでもしんどいことはあります。

なので、ネガティブなことをあげようと思えばいくらでも出てくるものです。




ただ、ECの場合、もっと深刻なしんどさがあるんです。



こっちが本丸。




特に複数商品を販売するネットショップの場合です。



アパレル。

靴鞄。

インテリア。

食品。

雑貨。

アクセサリー。

文具。

電子機器。



例えばこういうカテゴリのことです。



なぜか?を順番に説明しますね。




Step1:品揃えがたくさん必要になる。



この手のECは、品揃えがそのまま購入率に反映します。



もともと”選ぶ”という行為がお客さんの購買行動に組み込まれてるので、

いくら素敵な商品を少数精鋭で揃えていても、選択肢が少ないという時点で売れません。



これは自社サイトだけの話じゃなくて、楽天やアマゾンといったモールでも同じです。

確率論からしても多品目はどうしても避けられなくなります。





Step2:配送を早くするために在庫を持つ必要がある。



現代のECサイトだとお客さんはほとんど品物の到着を待ってくれません。

配送時間を早くするには、自分で在庫を持っておく必要があります。



アマゾンのFBAのような倉庫なら尚更ですね。




Step3:売れる商材は仕入れを要求される。


売れない商品ならいざ知らず、ECで成果の出る商材というのはたいてい他の人も仕入れたいものです。

なのでメーカーなり、工場なりはその商品を確実に手に入れたいなら仕入れを条件にする場合が多いです。


しかもその数(ロット)も多くなければならないことが多いです。




Step4:拡大するためには品揃えと在庫量を増やし続けないといけない。


たとえば1000個仕入れたら、1000個売れて、さらに2000個仕入れたら2000個売れるといったようなサイクルで

品物は売れていきません。



1000個入れたら800個売れて、2000個入れたら1500個売れて、5000個入れたら3000個売れる。


こんな感じで在庫が売れていったりします。


ということはですね、1000個を100万円で仕入れた後にさらに売上を増やそうと思うと、

100万円分の仕入れと同額の利益が回収できてないタイミングでさらに200万円の仕入れをするということが必要になります。





Step5:在庫がいくら残っていても会計上は黒字になる。




100万円仕入れて、合計で200万で売りたいとします。

でも実際売れたのは50万円の仕入れ分で売上は100万円です。


この場合、会計上の粗利益は50万円出ています。

広告費とか人件費を引いても20万くらいは利益が出てることになります。



ただ、100万で仕入れた現金は20万円しか戻ってきてませんよね?

利益がもっと多くて50%ある商売だとしても50万しか現金は回収できてません。



仕入れた100万円の現金は減ったままなんです。




会計上は黒字で順調だけど現金は減ってるって状態ですね。





同じ売上額を達成したい場合は手元に残った50万円にさらに50万を足して仕入れなければいけませんし、

もっと売上を大きくしたいなら さらに100万円のお金をどこかから持ってこなければなりません。




これを会社を成長させるために1.2倍づつ増やしていったらどうなりますかね?



1年後には、数千万のお金が足りない状態になります。


そういうときにどうするかというと、どこからか借りてくるか、貯金を削るかになります。




さらにそれを続けるといわゆる黒字倒産になるわけです。





もちろん、仕入れたもののうち在庫として残る割合が少ないような回転率だったり、

一時的にでも在庫を一掃できればこういうふうにはなりません。




それでも構造上の問題で自転車操業になりがちなので、

常に資金繰りと売上(=在庫の消費率)にどきどきして経営することになるんですよね。





これは結構しんどい。



特に数字を予測したり分析するのが苦手な経営者だとストレスは半端ありません。




「じゃ、そこまで拡大路線を目指さなければいいじゃないか?」

「仕入れも手元の資金でやればいいじゃないか?」



と突っ込みたくなりますよね?




そうする経営者もいます。

その場合は単に売上と利益がどんどん縮小していくんですよね。



結果めっちゃ小さい利益になって、今度は自分の固定費も払えなくなるまで落ちていきます。



拡大してハラハラするか?

小さくなってハラハラするか?



こんなデスゲームになることも”ECあるある”です。



つまり、キャッシュフロー資金繰りが果てしなく続くってのがEC独特のしんどさです。




じゃ、ECはダメなのか?というとそうじゃありませんよ?



うちのクライアントさんでも上手にやってる方はたくさんいますし、

世の中絶好調のECもたくさんありますよね?




そのためには先ほどのしんどさの要素がない商材やビジネスモデルを選ぶことが肝心です。




■品揃えで勝負しなくて良い。


たとえば問題解決型。コンプレックス型の単品商品の場合は一個だけの商品をLPで売っていきますので、

数を揃えるってことが必要ありません。


その時点で数を揃えるために資金がいるって要素を削れます。




■定期的な販売をして消費が見込める。



たとえば結構食品の定期通販の場合は、在庫がどれくらいで捌けるか予測できますし、

新規だけ取らないと売上が増えていかない構造ではないので仕入れ計画に無茶なことをしなくていいです。


ノコギリヤシのサプリ。

ローヤルゼリー系のドリンク。

こういうのもその一つですね。



ちなみに、その場合でも今度は顧客獲得コストが初回購入の利益を超えてきますので、

定期購入分の利益で回収できるまでの資金は必要になります。






■利幅が大きいものを売る。


単純な話利幅や利益の絶対額が大きいものは、多少在庫が残っても売れたもので

利益額を確保できるのでキャッシュフローがそこまで申告になりません。


業務用空気清浄機とかそういうのですね。





■売り手優位な差別化商材を売る。



iPhoneとかって、好きな人は数ヶ月まったりしますよね?

いわゆるブランドを作り込んでいれば、在庫とか関係なくぶっちゃけ受注してからその数だけ作成したり仕入れることが可能です。


自分がインフルエンサーになるとかでもおなじことが可能です。







とまあ、ざっくり回避策をお話ししてみました。




何が言いたいか?というとですね。



ECはECでやり方によってはうまくいくし、やりかたによっては構造上しんどいビジネスだということを言いたいだけなんですが、

少なくとも、「ECなら自分でもできる」とECを簡単な部類に認識すると火傷しますよ?ってことでした。










ーー動画だと、もっと詳細に語っていますので、

深く理解したい人は、そっちもご覧ください。








【雑談】「諦めたらそこで試合終了ですよ。」



本当に世の中って最後まで何が起こるかわからないものです。



昨日もこんなことがありました。



ワールドカップも盛り上がり。

イギリスのプレミアリーグで三笘選手が無双している今日この頃ですが、

今年も日本のJリーグが開幕しました。

我が家は今年も川崎フロンターレのサポーターでシーズンチケットも買いました。




ホームはスタジアムで、アウェイはネットで観戦しています。



そんなフロンターレですが今年は調子が悪く開幕戦はボロ負け。




そして2戦目。



開始早々点を入れられて0-1に。


そのまま後半も残りわずかになった頃、1名の選手がレッドカードで退場に。


つまり負けてるのに10名対11名で戦わないといけないわけです。



僕はもうここで諦めてました。



「あーダメだー。今年は調子悪いよな?」とか息子に話したりしてね。



でも息子はサッカー選手らしく「まだ終わってないよ!」と言って僕を非難してました。




ただ、ここからがびっくり。


残り1分で1点入って、さらにアディショナルタイムに入った数分後にもう1点入れたんです。



劇的な逆転勝ちです。しかも人数が少ないのに。



漫画スラムダンクの有名なセリフに「諦めたらそこで試合終了ですよ。」というのがありますが、

ほんとそれだなーと。




僕は真剣に部活をしたことがないので、このへんがダメなんですよね。

息子は体感として知ってるみたいです。





長く生きてるんですからわかってるんですけどねw

また教えてもらいました。



で、話は変わりますが、起業においても同じことが言えると思います。



やはりうまくいく人は諦めないんです。



どん底から這い上がるとか劇的な話でなくて、

とにかくうまくいくまでいろいろやるんですよね。



ビジネスを変えることもあるし、

集客方法を変えることもあるけど、とにかく諦めません。




逆にすぐ諦める人は一生うまくいってない気がします。



・一旦ゆっくり考える。


・一旦休止する。


こういうのも諦めてないように見えますが、諦めてる部類に入るので

うまくいく人は確率的に減るなーと。




あの手この手でもがく。こういう人はなんやかんやで

勝点を積み上げてる気がします。



カリキュラム

  ECサイトが大変なこれだけの理由【第664回】
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